町田市で仕事として注文家具、本格的に木工を初めたのは昭和63年でした。

 木というものに興味をもったのは、それよりも十数年前、これは生きている樹、盆栽でした。
年寄り臭い?そんなことは有りません。科学的な根拠も含めて実技をしていくことでより深く確実に知識も、腕も深まっていくものです。吸収力の有る若いうちがチャンスだったのです。

盆栽をやっているうちに、飾る事も覚えます。
飾る為の小道具、レイアウト、そのうちに、必然的?に回りの道具類や調度品、棚や席飾りの相性、そのような物が目に付きだしました。自然にも当然目が行くようになります。

様々な環境の中での樹形、これなどは、長年、プロの方たちも追い求めていることだと思います。そのうちに、木そのものへの興味がわいてきました。
様々な地板と呼ばれる道具、(盆栽を鑑賞する時に、鉢の下に敷く物です。)

単純な木目が有ったり、複雑に入り組んだ木目が有ったり、
コブと言われる独特の模様を呈したり、様々な板に出会いました。

何処に、こんな木目の出る木があるのだろう?そのような見方から、古い家具やお盆や箱などに出会い、家具作りへの元ができてきたのでした。

自分の意識の中で、弟子入りするとか、学校に通うとかの選択肢は無かったのです。それは、今までの仕事上、木に関わりの有る仕事をしている人達(建築関係)と出会っていたので、それなりに知識があると誤解してしまっていたからです。

確かに相通じる事はたくさん有ります。しかし一部を除いて分業化してしまっているので、木工、家具を始めようとしている自分にとってそれだけでは不足だったようです。

家具作りにおいて、与えられた情報だけでも制作はできますが、そこにもうひとつ、自分で納得できる仕事をしたいための手段、情報をつかむための努力が必要になりました。

まずデザインですが、自分の好みが有りますが、そのデザインで強度に心配は無いのか、組み合わせ(仕口)だけでなく樹種、性質等、調べていけばいくほど奥が深くなっていきます。

材料も仕入れてすぐ使えるものはほとんど有りませんし、かといって、自分の仕事場には材料をたくさんストックする場所もありません。そのような中でも原木を買い、製材し、木どりの大切さなども知りました。これは、自分の買った木だけではなく、このころになると原木をたくさん扱う人と知り合いになり、手伝いに行ったり、製材やさんとも馴染みになり、変わった木の製材に立ち合わせてもらったりして、徐々に木どりを覚える事ができました。

道具の仕込みや手入れは本を読んだり、以前からの知り合いの大工さん、建具やさんのやっている事を盗みました。ですからかなり回り道をしましたが、その分しっかりと身につけることができたと思います。またなによりも、木が好きで始めた木工が、進めば進むほどもっと好きになりました。

木の持つ可能性もたくさん知る事ができました。家具、木工品には、用と用の美を求められますが、私達の身の回りにもそれに見合う品物は有りました。

昔から生活の道具としての家具、木工品です。使い込むうちに増していくあじは、木ならではのものがあります。

そしてその中に木の持つ個性をいれこみたいと思うようになりました。縁も有り穴もキズも有るものを、作品として出す。本来嫌われるこのような材料を、木の個性ですと言うと共に、しつこくなりすぎず、美的にさえ見えるようにするには、難しい事がたくさんあります。が、またそれが楽しみでもあるのです。

もうひとつ自分が作っていきたいものが見せるための道具。
敷板,結界、衝立、屏風、垂撥など、和洋を問わず何かを見て楽しむための演出の脇役としての道具です。

これらは木の持つ特性を、十二分に引き出してくれるはずですし、一生かかっても終わりのない試みだと思っています。

樹への思い

 家具作りに使われる材料は、殆どが広葉樹。樹齢は100年を越える樹が多いのです。木こりで使われている材料たちもその例に漏れません、中には樹齢1000年を越すものもあります。

特に樹齢を重ねた樹ではとても綺麗な木目を表すことが多いのですが、その中でも特に珍重されるような木目をと称して銘木と言われています。

そこまで特別でないにしろ、苦労した樹には苦労した証が木目に現れます。その樹の育った環境に思いをはせながら材料を選ぶのも楽しいものです。

ただ単に材料としてでなく、この木をどのようなものに替えるか、どのように見せるかで、全く違う表情を見せます。

このような樹だからこそ、1点1点、大事に家具作りをしていきたいものです。

展覧会・イベント出展など

2013年

  • 木工3人展:ギャラリーコンテーナ
  • 原田道夫木工展:バーラストチャンス
  • 第8回ネットの仲間展:富士市(富士川楽座フジヤマギャラリー)

2012年

  • 第7回ネットの仲間展出展:富士市(富士川楽座フジヤマギャラリー)

2011年

  • 第5回たまクラフトフェアー参加
  • 第6回ネットの仲間展出展:三重県立熊野古道センター交流棟

2010年

  • 第4回たまクラフトフェアー参加
  • 第5回ネットの仲間展出展:富士市(富士川楽座フジヤマギャラリー)

2009年

  • 第4回ネットの仲間展出展:名古屋市(愛知芸術文化センター)

2008年

  • 第3回ネットの仲間展出展:八王子市(アート・スペースKEIHO)

2007年 

  • 第1回たまクラフトフェアー参加
  • テレビ東京TVチャンピオン2、流木家具王選手権ステージ1の審査を勤める。
  • 「2007 Wind Art Exhibition」出展:大阪(大阪市立中央公会堂)・徳之島

2006年 

  • 第10回八ヶ岳クラフトフェアー参加
  • 日本テレビ、ぶらり途中下車の旅で工房を紹介される。
  • 2006年松本クラフトフェアー出店
  • 陶・漆・木三人展 「アート・スペースKEIHO」

1988年 

  • 木まんま工房木こり開業 注文家具主体に制作活動

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